youtubeで期間限定公開されていた「空海」を見た…1984年(昭和59年)弘法大師空海入定1150年記念に、全真言宗青年連盟と東映が提携して製作。監督:佐藤純彌。主演は北大路欣也さん
往年の名優がたくさん出ています。
欣也さん、すごくかっこえー
お大師様の生涯を、はしょってはしょって、3時間に詰め込んだ。真言宗が絡んでいるので、どうしてものエピソードのみ厳選したんだろうなぁ。
前半は一大スペクタルという感じ。壮大なロケあり、昭和の特撮(初期のウルトラマンの感じ)あり。個人的には、朝廷のゴタゴタ(薬子の変 )よりも、最澄との関係をもっと書き込んで欲しかった。と言いつつ、薬子ってスゴー!薬子は小川真由美さん。
40年位前の映画なので最初はちょっと見にくかったけど、どんどん引き込まれてしまって…
富士山噴火で、洞窟に逃げ込み恐怖と絶望の淵にある村人に、空海と一緒にいた私度僧(室田日出夫さん)が「男女で抱き合うのだ。抱き合って生きる喜びを思い出すのだ」と叫ぶ。そこで抱き合う男女の光景に、空海は密教曼荼羅を見る。
そして唐に渡り恵果に会い、驚異的なスピードで真言密教を体得する。
空海が何度も口にする「この世なくしてあの世なし。この世で生きて仏になれ!幸せになれ!」
シル婆ぁの心に残ったよ。
その他にも…
「風を鎮めようと思うな!己が風になれ!」
「大地も人も生きている」
「食欲・性欲そのままに生きよ。これに目を背けるは、色なき景色を見て、体なくして生きることと同じ。仏の導きを信じて、己を救い、人も救われんことを願い、ついには生きながらの身で仏になれるのだ」という強烈なメッセージ。
最後の方は、欣也さんにお大師様が乗り移っていた。シル婆ぁの目には欣也さんじゃなくてお大師様が見えていたよ。欣也さんはこの映画のために高野山真言宗で得度出家をしたそうです。
お大師様が入定するとき、見守る弟子への最後の言葉「もしも私に会いたかったら、遍照金剛と唱えるが良い。私はいつもそこにいる」これを聞いてシル婆ぁ泣けて泣けて…
そして、「私は旅をしている…宇宙の根源に向かって旅をしている」と呟いて大日如来のもとへ旅立った空海…。
映画の最後の最後のシーン。現代の車が行き交う遍路道を、白装束を着たお遍路さんの集団が歩いて行く。ダンプの列をくぐり抜けて歩くお遍路さん一行。同行二人の菅笠の列。そのお遍路さんの中の一人がふと顔を上げると、欣也さんの顔が…。穏やかな笑顔で歩く一人の名もなきお遍路さん…これがラストシーンでした。
このシーンを見たとき、ただ涙。お大師様はいつも一緒にいるんだね。ヘタレなお遍路のはしくれのシル婆ぁだけど、お遍路に行って良かったと、心から思ったよ。